下請け契約を締結した際、法定の支払い期日が存在することはご存知でしょうか?
今回は、下請け業者に対する支払い期日について説明します。
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関係法令について
「支払い期日」に関して、関係する法律をご存知でしょうか?
建設業者である、事業者は主に2つの法律が関係してきます。
建設工事のみを請負う場合
建設工事のみを請負う建設業者は、原則「建設業法」が適用されます。
建設工事とは以下の29業種のものとなります。
・土木一式工事・建築一式工事
・大工工事業・左官工事業・とび土工工事業
・石工事業・屋根工事業・電気工事業
・管工事業・タイルれんがブロック工事業・鋼構造物工事業
・鉄筋工事業・舗装工事業・しゅんせつ工事業
・板金工事業・ガラス工事業・塗装工業
・防水工事業・内装仕上工事業・機械器具設置工事業
・熱絶縁工事業・電気通信事業・造園工事業
・さく井工事業・建具工事業・水道施設工事業
・消防施設工事業・清掃施設工事業・解体工事業
建設工事以外も請負う場合
建設工事以外も請負う建設業者、つまり「兼業」がある建設業者の場合です。
よくあるケースとしては、製造業の会社で建設工事も請負っている場合です。
この場合は、建設工事の請負に関しては「建設業法」
建設工事以外の製造業に関しては「下請法」の適用がされます。
また、造園業の会社でも建設工事に係る部分と、剪定などの建設工事に該当しない役務の部分で分かれます。
支払い期日について
では、先述の「建設業法」「下請法」では法定期日に違いがあるのでしょうか。
2つの法律の違いについて考えていきます。
ちなみに、支払方法に手形を採用する場合は、原則、以下の期日を超える手形の発行は認められません。
基本的には、現金またはそれに類する方法での支払いとなります。
建設業法
建設業法第二十四条の三から第二十四条の六で主に規定されています。
第二十四条の三
元請負人は、請負代金の出来形部分に対する支払又は工事完成後における支払を受けたときは、当該支払の対象となつた建設工事を施工した下請負人に対して、当該元請負人が支払を受けた金額の出来形に対する割合及び当該下請負人が施工した出来形部分に相応する下請代金を、当該支払を受けた日から一月以内で、かつ、できる限り短い期間内に支払わなければならない。
基本的には、建設業者はこの条文が適用されます。
要約すると、発注者から工事に係る支払いを受けたときは、1カ月以内に下請け業者に支払いをしなければいけません。ということです。
ちなみに、前受金を受けた際も同様な扱いとなります。(建設業法第二十四条の三第三項)
特定建設業者の場合
特定建設業者の場合は、これより厳格な要件が求められています。
第二十四条の六
特定建設業者が注文者となつた下請契約(下請契約における請負人が特定建設業者又は資本金額が政令で定める金額以上の法人であるものを除く。以下この条において同じ。)における下請代金の支払期日は、第二十四条の四第二項の申出の日(同項ただし書の場合にあつては、その一定の日。以下この条において同じ。)から起算して五十日を経過する日以前において、かつ、できる限り短い期間内において定められなければならない。
第二十四条の四
元請負人は、下請負人からその請け負つた建設工事が完成した旨の通知を受けたときは、当該通知を受けた日から二十日以内で、かつ、できる限り短い期間内に、その完成を確認するための検査を完了しなければならない。
2 元請負人は、前項の検査によつて建設工事の完成を確認した後、下請負人が申し出たときは、直ちに、当該建設工事の目的物の引渡しを受けなければならない。ただし、下請契約において定められた工事完成の時期から二十日を経過した日以前の一定の日に引渡しを受ける旨の特約がされている場合には、この限りでない。
要約すると、特定建設業者の場合は、下請け業者から建設工事の引き渡しの申し出を受けた際は、発注者からの支払いの有無に関係なく50日以内に支払いをしなければなりません。
この場合、下請け業者が特定建設業者または、資本金が4,000万円以上の法人には適用されません。
下請法
では、建設工事以外も営む会社の場合を考えます。
この場合は、下請法第二条の二によって規定されています。
第二条の二
下請代金の支払期日は、親事業者が下請事業者の給付の内容について検査をするかどうかを問わず、親事業者が下請事業者の給付を受領した日(役務提供委託の場合は、下請事業者がその委託を受けた役務の提供をした日。次項において同じ。)から起算して、六十日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において、定められなければならない。
要約すると、下請け業者から納品を受けた場合は、内容に問わず60日以内に支払いをしなければなりません。とされています。
このように建設業法よりはやや緩やかな期日が定めれています。
建設業法と下請法の違い
以上のように建設業法と下請法では、支払期日に関しての規定に違いがあります。
建設業以外も営む建設業者の場合は、気を付けなければなりません。
それは主に、それぞれの法律の主旨に違いがあるがゆえです。
建設業法の主旨
第一条
この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによつて、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もつて公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。
このように、建設業法の主たる目的は発注者の保護です。
信頼して工事を依頼した発注者の保護をするためには、工事代金の支払いが滞ることによる工事の中断や中止による被害を防止しなければなりません。
建設工事の場合は、下請け契約は1次下請けのみで完結するケースのみでなく2次、3次と連なるケースも多く存在します。
支払い期日が長ければ下請け次数が増えるほどさらに期間も長くなりえます。
建設業ならではの、実情を踏まえた規程であるとも言えます。
下請法の主旨
第一条
この法律は、下請代金の支払遅延等を防止することによつて、親事業者の下請事業者に対する取引を公正ならしめるとともに、下請事業者の利益を保護し、もつて国民経済の健全な発達に寄与することを目的とする。
一方で、下請法における主たる目的は、公正な取引性の保護です。
発注者(親事業者)と下請業者との公正取引が主たる目的として掲げられております。
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