建設業

建設業許可における専任技術者と配置技術者は出向者でも良いのか

専任技術者と主任技術者(主任技術者・監理技術者)は自社従業員でなければならないのかという疑問を感じたことはございませんか?

今回は、外部からの出向者でも選任でもよいのかという点で考えていきます。

出向の形態

そもそも出向というものは形態として2種類あります。

「在籍出向」「転籍出向」です。

何が違うのかということですが、要は籍をどこに置くかという点です。

「在籍出向」は言葉のとおり、籍は残して出向先に出向くことを言います。

「転籍出向」は実質は転職のようなもので、籍も完全に移籍して出向することです。

専任技術者の場合

建設業許可の要件の一つ「専任技術者」とは どんな要件か

建設業許可の取得要件として、専任技術者の配置が必須です。 では、専任技術者とはいったい何なのか。 専任技術者は、建設業を営業する営業所に必ず配置しなければならない技術者です。 言葉のとおり、その営業所 ...

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専任技術者の要件は別ページでの説明もありますが、その営業所での常勤性が求められます。転籍出向の場合は、先ほども説明したように転職のようなもので、そもそも籍が出向先にあるので、常勤性としては問題はありません。

在籍出向の場合は、出向先に常勤するということであれば専任技術者になることは可能です。ただし出向先で常勤でいることを証明する資料が必要になります。

常勤性の確認資料とは

建設業許可の申請では、健康保険証などで常勤の確認をすることが基本です。

しかし、在籍出向の場合は、健康保険証の事業所名の項目が出向元の会社名になっています。この場合は、確認資料として出向契約書出向辞令(命令)書などで出向先に出向して常勤していることを証明する必要があります。

ちなみに常勤役員等(経営業務の管理責任者)の場合も同様で、常勤性が審査要件です。なので、審査内容は同じく、「在籍出向」か「転籍出向」によって確認資料によって確認します。

配置技術者(主任技術者・監理技術者)

工事現場の配置技術者(主任技術者・監理技術者)の技術者とは

配置技術とは施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理及び工事の施工に 従事する者への指導監督をする現場のリーダーです。 ・主任技術者 ・監理技術者 の二種類があります。 主任技術者 主任 ...

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適正な施工を確保するためには、主任技術者・監理技術者と所属建設業者がお互いの技術力を把握し、十分に活用して業務を行うことができる状態であることが必要とされています。

そのため、主任技術者・監理技術者には、所属する建設業者との直接的かつ恒常的な雇用関係が求められます。

つまり、配置技術者(主任技術者・監理技術者)にあっては出向社員の場合は常勤性があったとしても認められません

「直接的な雇用関係」とは

直積的な雇用関係とは主任技術者・監理技術者と、その所属する建設業者との間に第三者が介入する余地のない雇用に関する一定の権利義務関係(賃金・労働時間・雇用・権利構成)が存在することをいいます。

つまり、出向社員等には、このような直接的な雇用関係があるとは言えないため、配置技術者(主任技術者・監理技術者)になることができません。

「直接的な雇用関係」の確認方法

メモ

・健康保険被保険者証

・市町村区が作成する住民税特別徴収税額通知書

によって確認されます。

出向社員が主任技術者・監理技術者と認められるケース

出向社員が主任技術者・監理技術者と認められるケースもあります。

出向社員は建設業者との間に直接的かつ恒常的な雇用関係がありません。

しかし、以下の場合は認められることがあります。

企業集団確認

親会社からの出向社員を出向先の連結子会社が工事現場に主任技術者・監理技術者として置く場合です。

「企業集団確認」というものを受ける必要があります。この企業集団確認を受けるには、国土交通省土地・建設産業局建設業課長による認定を受けなければなりません。

「企業集団確認」を受けると、直接的かつ恒常的な雇用関係があるものとして取り扱われます。

企業集団確認を受けるには

下記のすべての要件を満たしている必要があります。

メモ

①一の親会社とその連結子会社からなる企業集団であること

②親会社が建設業者であり、有価証券報告書提出会社又は会計監査人設置会社であること

③連結子会社が建設業者であること

④③の連結子会社がすべて①の企業集団に含まれる者であること

⑤親会社又はその連結子会社(2社以上ある場合はそれらすべて)のいずれか一方が経営事項審査を受けていない者であること

恒常的な雇用関係

恒常的な雇用関係というには、所属建設会社に一定の期間にわたり勤務し、毎日(休日を除く)一定時間以上の勤務が必要です。

つまり、一つの工事期間だけ短期雇用するなど、期間限定で雇用をすることは恒常的な雇用関係といえないため、主任技術者もしくは監理技術者として配置することはできません。

また、国や地方公共団体等が発注する公共工事の場合は、原則、3ヶ月以上の雇用関係があることが必要です。

入札や契約方法によって決まりが違いますのでご注意を。

恒常性の特例

ただし、次のようなケースでは特例が認められており、3ケ月以上の雇用関係がある必要はありません。

合併や会社分割などで、所属の建設会社が変わってしまった場合。

震災などの対応で緊急の必要、その他やむを得ない事情がある場合。

非専任の主任技術者、下請負者の主任技術者である場合。

 

国交省 監理技術者ガイドライン 詳しくはこちらをご参照ください

 

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